リオ五輪3位決定戦での錦織のトイレットブレイク問題について考える
2016年8月14日現在世界ランキング7位の錦織にとって銅メダルは(金メダルでさえ)十分に達成可能な目標であったわけだが、日本テニス界では96年ぶりのことで、とんでもない快挙であることでは間違いない。
ただそれに水を差したかもしれない話題が第2セット終了後に彼が取った11分(12分とも言われている)に渡るトイレットブレイクだ。
通常テニスで認められているトイレットブレイクの時間は5分で、それを越えた場合はゲームの遅延として扱われる、とある(ちなみに私が調べた限りでは罰則の適用はレフリーの対応如何によるようだが、警告・失点・1ゲームを失う・失格などがある)。オリンピックではルールが違う!という意見もあるが、いずれにしても故意に行ったとすれば重大なマナー違反であることは疑いようがない。
そこで今回は下記2点について考察してみたい。
錦織が故意に長いトイレットブレイクを取ったのか
これについては正直錦織が故意で行ったのはどうしても考えにくい。
彼も長年テニス界でトッププレイヤーとして活躍している以上、この行為を故意に行うことはあるまじきことであることは身にしみて分かってるはずだ。
そして「錦織にとってここ一番だからわざと長いトイレットブレイクを取ったんじゃないの?」という疑問ついては明確にNOと言うことができる。
オリンピックでの銅メダルというのは大きなプライオリティではあるのは間違いないと思う。しかし彼にとってはオリンピックの銅メダルより、四大大会の優勝の方が(あるはマスターズ1000の優勝ですら)確実にプライオリティが高い。そんな中でこの試合でナダルを怒らせる、あるいはテニスの世界(もっというとテニスメディア)を敵に回すのは今後のことを考えるとあまりにも得策ではない。
よってこの長時間に渡るトイレットブレイクは決して故意によるものではなく、何らかの運営上の不手際であったのだろうと推察する。
錦織のトイレットブレイクが原因でナダルは敗北したのか
このことがナダルが敗北した原因の一つに挙げられる可能性は否定できない。しかし彼は四大大会14勝というとてつもない記録を誇る歴史上でも有数の選手であり、そんな彼の持つ精神力は常人の考えのおよばぬところ。仮に試合中・試合後の興奮した状態ならいざ知らず、「錦織のトイレットブレイクのせいでリズムを乱されて負けた」と認めてしまうことは彼の現在の実力を自ら認めてしまうことになり、それは屈辱以外の何物でもないだろうし、現実彼の実力はその程度のものだった、と評価せざるを得なくなる。
そもそもテニスに限らずスポーツというものはなにもこのことだけではなく、天候その他諸条件によって試合の結果が異なってしまうことはままあること。
よって今回錦織が獲得した銅メダルは紛れもなく「あの試合において」彼の実力で勝ち得たものであり、なにも疑問を挟む余地がないものだと考える。
が、このことを口実に錦織が攻撃されることはほぼ間違いないであろう事を考えると、後味の悪さはぬぐいきれない残念な事件だった、というのが私の結論だ